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もうすぐ年をとる。
24になる。
いつからかまた一歩近づいた、と心の中で思うようになっていた。

何に?

暗い夜、眠れないことが多くなった。
夜更かししすぎたせいだって?
冗談じゃない。
満たされることがないから、眠るわけにはいかないのだ。
募るのは不安と焦燥感、疲労、閉塞感。

その夢のことは、今でも鮮明に覚えている。

金色の絨毯が飴色の風にゆらゆらとたなびいている。
広大な草原。あるいは、裏寂れた里山のどこかにある、野原。
すべてが黄昏色に染められている。
地平低くに留まっていた陽の光は、血液を吸い込んだように赤く、ぎらぎらと輝きながら沈もうとしていた。
僕は走り出す。
道なき道を走り出す。
行くあても知らず、ただ暗くなる前にどこかに行かなければならないという強迫観念に囚われたがごとく。
忘れてしまった誰かに巡り会わねばならないという使命感にとりつかれたがごとく。
ただそこで、どこへも行けず、誰とも巡り会うことなく、立ち往生してしまうことだけを恐れて、遮二無二走り続けるのだ。

夢から覚めると、そこにはいつもの日常が待っている。
いつもの日常?
そんなの嘘っぱちだ。
いつまでも“いつも”も“日の常”も続くはずがない。
僕は終わりに向けて走り出してしまっていた。
あの時、あの夢を初めてみた瞬間から、もうスタートしてしまっていたのだ。
あとから気づいて後悔したところで、僕達はもう産み落とされてしまった。
幸福であると同時に、それは悲劇。

僕は僕の鼓動がいつか止まることを知っている。
僕は僕の呼吸がいつか止むことを知ってしまっている。
僕は僕がいつかなくなってしまうことを知り、怯えている。

なぜ?

どこにいき、だれにあえばいいのか。
この命題が、いまだに僕にはない。

最近あの夢が少し様子を違えてきた。

僕はただ、すべてが黄昏に染まった世界の中に立ち尽くしている。
今見るこの景色の中に、僕に微笑みかけるものは何もない。
ただすべてが僕を置き去りに、静かに、ゆっくりと、しかし確実に流れていく。
砂上の楼閣が、波に現れるたびに少しずつ崩れていくように、黄昏に染まった世界はやがて少しずつ闇に侵食され、消えていく。
僕はただ一人、最期までこの世界に取り残され、最期の時が訪れるのを、じっと待っている。

それは50年先にみるヴィジョンか、あるいは明日への予知夢だろうか。
いずれにせよ、いつか僕はその瞬間を迎えるのだろう。

だからこれは、終わりの始まりだ。



たれをかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
藤原興風
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02.02 (Fri) 01:48 [ 衝動 ] CM0. TB0. TOP▲
  
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